韓国人による恥韓論

シンシアリー

韓国に住む普通の韓国人であるシンシアリー氏が、日本人向けにブログで綴った赤裸々な韓国人論を書籍化した一冊。「韓民族こそが世界一で世界中で褒められているが、日本のせいで多くの栄華が失われた」というすべての韓国人が持つ日本コンプレックスを下敷きに、いかに韓国人の反日思想が傲岸不遜で救いようのないものか、そしていかにしても日韓が永遠に分かり合えない理由を探る。その大きな要因として、韓国という社会を内面から支えている儒教思想の「忠(愛国)」と「孝(敬老)」を挙げる。

まず「忠」は、韓国には以前から、日本と北朝鮮というふたつの敵が存在していた。前者が反日思想、後者が反共として韓国人の意識の中に深く根付いていたわけだが、左派政権が台頭してくるたびにかつてほど強烈な反共(反北朝鮮)教育はなされなくなった。その代わり、韓国人が自分以外に「悪」を見つけ自分を「善」と見なす根拠とする対象が必要となった。その対象こそが日本である。「自分は善だから相手に何をやってもいい」という暴走した観念が猛烈な反日へと向かい、韓国人の「忠=愛国」を満たすこととなる。

一方の「孝」だが、韓国社会に「子が親の面倒を見る」という風習があるにも関わらず、老人貧困率48.6%で老人所得が91か国中90位という目も当てられない現実がある。しかも、親の面倒を見るからには財産をもらうという考え方のもと、財産のない親を放置したり財産目当てに病気の父を自分の家に拉致したり。これに対し、財産をやったのに生活費をくれないという理由で息子を告訴する親や、相続してやった財産を返せと告訴する親が続出したという。韓国の「孝=敬老」は有名無実化したわけだが、これを復権させたのも反日だった。反日デモでは老人と青年が仲良く日の丸を踏み潰し、日本の総理大臣の写真を燃やす。竹島や慰安婦のデモには小学生たちも動員され、全世代で共闘する場が演出されるのであり、少しでも親日的な発言をした人には全世代でこぞって糾弾するのである。これが新しい韓国の「忠孝」であるとシンシアリー氏は自嘲気味に訴える。

このほか、韓国が反日に向かわざるをえない韓国社会の暗い実態を中心に、竹島問題や慰安婦問題における韓国側の主張の矛盾、東南アジア地区での性売買観光客1位という現実、アメリカや中国で慰安婦像や記念館の設立に躍起になる理由など、シンシアリー氏の冷静な視点からリアルな韓国人論が紡ぎだされていく。本書で書かれていることは、彼のブログでなくともウェブで検索すればいくらでも出てくることであり、ある程度韓国の動向を追っている私からしてもそれほど新味のある内容ではなかった。ただ、重要なことは、ウェブで得た韓国の実態はデマでもなんでもなく真実であると、韓国人であるシンシアリー氏が裏付けてくれたということだ。

最後に、シンシアリー氏は悪化する一方の日韓関係の解決策として「距離を置くこと」を提案しているが、それでも取り込まれてしまう脳天気な日本人は政治家を筆頭にまだ数多くいる。では少なくとも韓国の日本観を知っておいてもらいたい。それは「韓国が言う友好とは日本が韓国の言いなりになることであり、日本という国は韓国が思う通りの形でしか存在してはいけない」ということ。これで日韓が分かり合えない理由がわかっただろう。そもそも、日本人は韓国を日本の思う通りにしたいなどと考えてはいない。「距離を置くこと」。シンシアリー氏の思う通りにすべきだという日本人は私だけではないはずだ。


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