歴史戦 朝日新聞が世界にまいた「慰安婦」の嘘を討つ

産経新聞社

朝日新聞は、平成26年8月5日と6日の特集「慰安婦問題を考える」で、いわゆる従軍慰安婦問題の発端となった吉田証言は虚偽と判断して取り消した。吉田証言とは、自称・山口県労務報国会下関支部動員部長の吉田清治による証言のことで、日本が韓国・済州島で1000人の女性を慰安婦として奴隷狩りのように強制連行したという内容のもの。この証言については、韓国の地元紙の調査でもデタラメと判明しており、さらに吉田自身も平成8年に週刊誌上で捏造を認めている。だが、朝日新聞が少なくとも16回、吉田清治を記事で取り上げたことで、朝鮮半島で女性を強制連行したとする吉田の嘘は海外にも拡散してしまった。1996年4月、国連人権委員会のクマラスワミ報告書は吉田の著作から慰安婦を「性奴隷」だと認定。98年には、国連人権小委員会でこのクマラスワミ報告書を下敷きとしながら慰安所を「強姦所」とするなど、表現をさらにエスカレートしたマクドゥーガル報告書が採択された。そして、2007年7月、米下院本会議は慰安婦問題での対日非難決議を採択。国内外にて日本の名誉を傷つけた吉田証言を発信し続けた朝日新聞は、吉田証言自体は引っ込めたものの、20万人の女性の強制連行、慰安婦と挺身隊との混合などは誤りとして認めていない。

慰安婦問題に関して、その火元となった吉田清治ならびに朝日新聞の罪は極めて大きいが、精力的に反論することなく事なかれ主義に徹した日本政府も同罪と言える。政府はクマラスワミ報告書に対して明確な反論文書を作成しはしたものの、問題を大きくしたくないとの意向で撤回した(反論文書は産経新聞が入手し公表した)。こうした日本の姿勢が、歴史を対日外交カードとして振りかざす中国と韓国が過去を誇張して世界に広める活動に油を注ぐことになった。戦後の日本は相手の宣伝工作に有効な反撃を加えるどころか、自らすすんでその罠にはまってきた。その象徴が強制連行を示す文書・資料も日本側証言もないまま強制性を認定した「河野談話」だ。これにより、世界に日本政府が公式に強制連行を認めたとされ、既成事実化してしまった。さらに、平成26年6月、河野談話作成過程において日韓間のすり合わせがあったことが判明。それも、日本側から「うちうちに相談に乗ってほしい」という要請を出していたというから開いた口が塞がらない。

いまや慰安婦問題は米国が主戦場になっている。2010年以降、米国では相次いで慰安婦碑や慰安婦像が設置されており、その動きは止まらない。また、サンフランシスコのチャイナタウンで慰安婦像設置計画が始動したことで、これまで韓国系の背後にいた中国系が表に出てきた。これが意味するのは、中国が日本の主敵として真正面に現れたということ。中国の対米プロパガンダの目的は、日米同盟の弱体化が基本であり、そのために日本の歴史問題を利用し、米側に日本不信を広めて日米を離間させることが狙いなのだ。日本は完全に「歴史戦」に巻き込まれた。平成27年は戦後70年という節目の年。中国と韓国は過度の愛国主義に毒された歴史認識を武器に、国際社会で仁義なき反日キャンペーンをさらに強化することだろう。この歴史戦に日本が打ち勝つにはどうしたらいいのだろう。まずは日本人一人ひとりが先の大戦や戦前の歴史について正しい史実を知らなければならないとともに、そうした知識を持った本物の日本人を国政の場に送り込まねばならない。日本の将来をかけた歴史戦は始まったばかりだ。


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