ヤクザと妓生が作った大韓民国 ~日韓戦後裏面史

菅沼光弘

日韓基本条約は終戦から条約締結までに20年の歳月があり、そのうち14年間は日韓両国の交渉に費やされた。その間、交渉は何度も中断、その難しい交渉を円滑に進めるために政治家や外交官がやらない汚れ仕事に携わり暗躍したのが、在日韓国人のヤクザだ。現在、全ヤクザ構成員のうち在日韓国朝鮮人の占める割合は3割とも4割とも言われている。また、KCIA(韓国中央情報局)は対日工作の第一の手先として民団の幹部を使ったが、その裏で暗躍した妓生(キーセン)の存在を忘れてはならない。外国要人を性接待するだけでなく、歌舞音曲や漢詩にも通じていた妓生は、竹島問題の実質的棚上げの立役者であったという証言もある。

ヤクザ構成員のうち6割が同和地区出身者で、3割が在日韓国朝鮮人と言われているが、その多くが全羅道および済州島にルーツを持つという。全羅南北道は韓国内で非常に差別されていて、済州島はそれ以上の差別を受けている。戦後の日本において、勝手に戦勝国を名乗り、日本人に対して傍若無人な行為を繰り返してきた朝鮮人であるが、彼らはいまでいう「暴力団」とは色合いの異なる、北に共鳴したイデオロギー団体、それに抗する反共団体、あるいは政治色のない互助会的な組織をそれぞれ結成していた。そんな中で、厄介な揉め事を仲介する任侠組織が派生し、次第に政治家とのつながりを密にしていった。もちろん、妓生の手練手管が政治決定に残した影響も強い。

本書は、元公安調査庁部長の菅沼光弘氏が、戦後日本の裏社会を支配し、日韓政治史に深い影響力を保持するに至った在日ヤクザについて縦横に語る。司会の質問に答えていくという体裁が取られているが、それにしても、テレビや新聞では絶対に報じられないであろう在日ヤクザ、妓生についてのエピソードがポンポン飛び出してくる。「在日」と聞くだけで怨嗟の対象になりつつある昨今だが、裏社会の韓国朝鮮人が全員日本憎しであったわけではないことは知っておくべきだろう。少しでも韓国問題に敏感な人であれば、読んでおきたい一冊だ。


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