自主防衛を急げ!

日下公人、伊藤貫

「東アジア有事の際、日本が核攻撃に晒されても、アメリカは絶対に助けてくれない」。国際政治では常識のバランス・オブ・パワー(勢力均衡)という戦略を捨て、ひたすらアメリカにバンドワゴン(隷従)する日本は、このままだと国際情勢の中で霞となって消えてしまうという対談者(日下公人、伊藤貫)の見解がつまびらかに記されている。そんな中で、両氏から示された解は、いまの日本が生き残っていくには自主防衛をするしかない。具体的には、核武装をし戦争抑止力を醸成するということだ。そうでないと、日本はますますアメリカ依存体質から抜け出すことはできず、どんどん干上がっていき、将来的に(両氏は2020年と予測)国が滅びることになる。

「核武装をする」。このひと言だけで、日本はアメリカや中国、ロシアと堂々と渡り合うことができるにもかかわらず、それをせずただただ大国の脛にしがみついていた日本。国家がまずしなければならないことが「国防」であることを忘れ、自主防衛しない国として次第に各国の信望を失っていった日本。幕末、明治期の日本人だったら、きっとこんなことはしなかっただろう。核武装と聞くと、護憲左翼や自称平和活動家、朝日新聞でなくとも、目の色を変える方もいることと思う。だが、それこそが日本を封じ込めておきたいアメリカの思う壺なのだ。

本書終盤にて伊藤氏が語る、日本が採るべきグランド・ストラテジー(国家戦略)は特に秀逸だった。危機感と真実味がビシビシ伝わってくる叙述の中で、項を繰る手が止まらなかった。


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