いざ志願!おひとりさま自衛隊

岡田真理

酒に酔った勢いで予備自衛官補に応募し、図らずも合格してしまった女性著者が予備自衛官に任命されるまでを綴った奮闘記。ひたすら重い銃を構えての戦闘訓練、足がまめだらけになる涙の25キロ行進、灼熱地獄と化す夏の隊舎などなど、さまざまなエピソードを交えながら、一般社会とガラリと異なる環境で50日間にわたる訓練に励む様子を描く。

とくかく文体が面白い。訓練の内容は男でも逃げ出したくなる相当ハードなものなのであるが、友だち向けのブログでも書いているかのような軽い文体に、思わず頬が緩んでしまう。それゆえ、実際の凄惨さが伝わりづらく感じられるが、自衛隊が敷居の低いものに感じられ、肩の力を落として気軽に読めるところは評価できる。さすがに、機密情報の保持には気を遣っていて、詳細な訓練内容は伏せられており、銃が重い、ガスが顔に痛い、匍匐すると石ころが痛い、など感覚的な描写が多いのはご愛敬といったところか。

初めは自衛隊のことなどまったく知らず使命感の欠片もなかった著者が、最終日程をクリアする頃には「自衛隊が大好きになった」「日本を守りたいと思えるようになった」「君が代日の丸に誇りを持てるようになった」と語っていたことが印象的。これは単に感情的なものではなく、軍(自衛隊)という組織の中で「国を守るための一員となった」ことを肌で感じ取った達成感から来たものだろう。その点、目と耳だけで国に対する意識を高めた僕とは根本的に違うのだなと感じた。

ちなみに、予備自衛官補に応募できるのは34歳未満とのこと(一般職)。志願したくても年齢的にもう無理だわ~、とホッとした自分がいる・・・。


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