保守論壇で活躍する11人による、日本国憲法の限界を鋭くえぐった論文集。東アジアにおける米国のプレゼンスが弱まり、中国からの軍事侵略に立ち向かわねばならない今こそ、他国に守ってもらうというスタンスを捨て、自主防衛できる国をつくりあげねばならない。そのためには、現行憲法を改正あるいは無効宣言して、自主憲法を制定する必要がある。この国家としての新しいフレームワークを、国体、天皇、安全保障、核武装、そして家族や日本人的道義心に至るまで、熱く論じられている。
いわゆる総則から入って各論へ移るというテキストブック的体裁ではなく、昨今の中国の大軍拡に対する“備え”としての新憲法について縦横に論陣を張っている。中には読みづらい稿もあるが、ほとんど全員一致している見解が、「米国によって押しつけられた占領憲法がある限り、日本が自立することはあり得ない」というもの。まさに内憂外患に大揺れしている日本の現状が最大最後のタイミングだとし、一人ひとりが舌鋒鋭く訴えかけてくる。
かくいう僕も自主憲法の制定には大賛成であるが、大学法学部出身でありながら、人にその正当性を論拠だって説明するのは勉強不足により不可能だ。だけど、以下を読めば誰でも、日本国憲法の異常性に気づくであろう。これは憲法前文の一部であり、まさに世界平和の実現という理想主義に立脚した日本封じ込め政策を暗に言い表したものである。
『日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。』――平和を愛する中国人の公正と信義に信頼して、われら日本人の安全と生存を保持、することなど絶対にあり得ない。