2017年 世界最終戦争の正体

馬渕睦夫

現在の世界はグローバル市場化によって世界を統一しようと企んでいる勢力と、国家や民族文化を重視してグローバル市場化といった世界の画一化に反対している勢力との間に、熾烈な闘いが繰り広げられている。言い換えれば、グローバリズム対ナショナリズムの世界規模における戦いだ。現在、この戦いが世界最終戦争へのいわば前哨戦として行われている。マネー至上主義に基づくグローバリズムを推進している勢力にナショナリズムと共存するという発想はなく、第三次世界大戦を引き起こすことで世界を強制的にグローバル市場化しようとしているのだ。2015年11月24日に発生したトルコ戦闘機によるロシア軍爆撃機撃墜事件において、もしプーチン大統領がトルコに報復爆撃をしていたら、トルコが加盟しているNATO対ロシアの正面衝突になり、世界はあっという間に第三次世界大戦に引き込まれるところだった。プーチン大統領はグローバリストが仕掛けた罠にはまらなかったのだ。著者の馬渕睦夫氏は、世界を破滅から救えるのはプーチン大統領だとし、それを支えられるのが日本の安倍総理だと訴える。ニュースや新聞からは見えない、世界中で繰り広げられている暗闘を追う。

グルジア、クリミア半島、ウクライナといった一連の事件に際し、プーチン大統領は核兵器を臨戦態勢に置くかどうかの検討を始める。世界のメディアはこぞってプーチン大統領を非難するが、プーチン大統領はウクライナ問題を陰で操った国際的反プーチン勢力、すなわちネオコンに代表される国際金融勢力に対して核戦争も辞さない覚悟を示した。一方、国際的金融投資家のジョージ・ソロス氏はウクライナ停戦合意を手厳しく非難。ウクライナ危機を利用してグローバル市場化に抵抗しているプーチン大統領を失脚させる狙いがあったからだ。ウクライナだけでなく東欧カラー革命、アラブの春の陰にも国際的反プーチン勢力の息がかかっていた。そして、世界の関心はシリア、ISに移る。そもそもなぜISはイスラム国家樹立を目指すと言いながらイスラム教徒を殺害しているのか。ISは何らかの政治的意図をもって人為的に作られたテロ集団という見方はあり得ないだろうか。また、どのようなルートで資金や武器を手に入れ、人材を確保しているのか。なぜ天敵であるイスラエルとの対決を唱えていないのか。なぜIS掃討にこうも時間がかかっているのか。これらを煎じ詰めて考えると、大国、いやグローバリストがISを育成し、テロを通じて世界を混乱させ分断させようとしているということに行き着く。

私たちは「ネオコン」について知らなければならない。ネオコンとは、ユダヤ系知識人を中心とした新保守主義のことで、つまりは左翼でも右翼でもない国際主義のこと。さらに、ネオコンは共産主義イデオロギーを信奉し、自分たちの利益を守るために他国への介入(干渉)戦略を旨とする政治集団でもある。ユダヤ系アメリカ人が多数を占めるネオコン勢力は、旧ソ連のスターリンによる粛清の犠牲となった多くのユダヤ人に関心を払っており、ユダヤ系ロシア人、とりわけユダヤ系資本家に警戒的な態度を崩さないプーチン大統領がネオコンの最大のターゲットであることは言うまでもない。かつてマッキンダーは「ハートランドを制するものがユーラシア大陸を制し、世界を支配する」と唱えたが、そのハートランドこそがロシア、ウクライナだ。ネオコン勢力(グローバリスト)とプーチン大統領の対立に終わりはないのかもしれない。


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