渋谷ではたらく社長の告白

藤田 晋

サイバーエージェント代議表取締役社長、藤田晋氏が、起業から上場までの苦闘を綴ったノンフィクション。麻雀に明け暮れていた学生時代に「21世紀を代表する会社を作りたい」との思いを抱き、広告代理店でのアルバイトを経て、インテリジェンスに入社。輝かしい成績を挙げるも起業家になりたいという熱意を抑えられず、サイバーエージェントを立ち上げる。当時、黎明期にあったインターネットに飛び込み、連日ハードワークでネット広告販売に精を出す。そして、2000年、東証マザーズに上場。当時26歳での上場は史上最年少だった。しかし、バブル崩壊のあおりを受け、株価は低落。どんな施策を打っても株価は上昇せず、藤田はついに会社を売却することを考える。

起業して軌道に乗せることが簡単なことではないことは理解している。本にしてしまうと頑張れば何とかなるというように伝わってしまい、実際は比べ物にならないほどシビアであることが見落とされてしまうこともある。しかし、藤田晋という人物には、揺るぎない一本の筋が通っている。それこそが、道を切り開いているのだろう。志の高さとも言い換えられそうだが、無意識のうちに高い信念に基づいた行動に出ていることが、成功へのステップを踏んでいたのだ。起業を志すのであれば、業界知識や業務経験、学習意欲も大きな要因になるが、それに勝るものが本書を通じて描かれていると感じた。


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