八日目の蝉

角田光代

主人公が留守宅に侵入して赤ん坊を略取するという衝撃的な描写から物語は始まる。「薫」と名付けたその赤ん坊を我が子のごとく慈しみながら、野々宮希和子は千葉の友人宅、名古屋の開発地域で立ち退き拒否をしている老女宅へと身を寄せ逃 … 続きを読む

海辺のカフカ

村上春樹

誕生日に家出をし東京から西へと向かう15歳の少年、田中カフカ。バッグに詰めたのは当座の現金とサバイバルグッズ、そして小さい頃姉と一緒に写った写真。思い出は実家にすべて置いてきた。愛情の欠片もない父親や、ずっと前に家を出た … 続きを読む

日本の歴史 本当は何がすごいのか

田中英道

事件や戦乱中心ではなく、主に美術・文学面から見た日本人の成り立ちを、古代から現代までの通史としてなぞらえた好著。文化(西洋にも大陸にもない独自性)、宗教(神道と仏教の習合)、自然観(もののあわれ、わびさび)、天皇(125 … 続きを読む

プリンセス・トヨトミ

万城目学

ちょっと前に話題になり映画化もされた作品だが、残念ながら期待外れ。面白くなかったというわけではないが、前々作の『鹿男あをによし』が、抜群の発想力と先の読めない独特のストーリー展開で非常に引き込まれたのに対し、今作はまるで … 続きを読む