中国バブル崩壊が始まった

宮崎正弘

中国全省の現状をその足でつぶさに見聞するだけでなく、訪れた世界各地では必ず現地の華字紙に目を通すという宮崎正弘氏。日本有数のチャイナウオッチャーとして知られた宮崎氏が、中国の偽りの繁栄と政治の限界を暴露することで、バブル崩壊へのカウントダウンが始まった中国経済の実態をあばき出す。

ここ最近、インターネットを中心に中国のバブル崩壊が方々でささやかれるようになったが、その根拠となるのが中国政府による異常とも言える過度の不動産投資。全国に建設された大型マンションは、いまや犬と浮浪者しかよりつかないゴーストタウンと化しているという。また、中国が(パクリ国家としての)威信を賭けて敷設した新幹線。ただでさえ、安全面と価格で魅力がないのに加え、衝突事故で多くの犠牲者を出し、完全のその信頼性を失ってしまった。バブル崩壊が粉飾決算で隠しきれなくなり経済が大きく揺らぎだすと、日頃から不満を抱えている民衆が、尖閣国有化後の大々的な反日暴動よろしく、国家(中国共産党)に牙を向くだろうとも警告する。

本書の特徴として、中国の経済事情を解説するにとどまらず、その政治体制の軋みや凄まじいばかりの汚職体質、険悪化していく一方の日中・米中関係、そして対中で結束し始めたASEAN諸国の動向なども、氏が自らの足で知り得た情報を基にした分析が加えられている。中国を一面的に精査するのではなく、周辺諸国から俯瞰的に中国を眺めると、中国がいかにして内部から崩壊していく様が見て取れるというものだろう。天変地異を察したネズミが大挙して逃げ出していくように、周辺諸国や中国に進出した企業の脱中国の動きが早まっている。中国国内に何らかの天変地異が起こることはもはや時間の問題だろう。


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