2014年4月19日付の読売新聞に、外務省がASEAN7か国(インドネシア、マレーシア、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナム、ミャンマー)に対して「最も信頼できる国はどこか」を問うた世論調査の結果が掲載された。それによると、日本が33%で首位、次いでアメリカの16%となり、中国は5%、韓国はたったの2%だった。日本はもともとアジア諸国をはじめ世界各国におけるインフラ支援や平和外交などが高く評価されているため、結果として当然という見方もあるが、その一方で目がつくのが中国と韓国に対する嫌悪感の急増である。特に中国は、フィリピンやベトナムに対する武力を用いた領土強奪行為だけでなく、世界各地に投資はするものの現地の雇用に貢献することはせず、資源を取れるだけ取っていくだけなので現地人の印象がすこぶる悪い。チャイナタウンの拡大に象徴されるように、共存という発想がないのだ。本書は『世界から嫌われる中国と韓国 感謝される日本』の続編であり、著者の宮崎正弘氏がアジア諸国・中東ならびにカナダ・オーストラリアなどの各地に足を運び、直接肌で感じた現地の対中・対韓感情を基に執筆。政治・経済・文化・地政学などのさまざまな切り口から、中韓の進出に伴う世界の反応、日本の立ち位置を学べる好著だ。
いまや華僑は世界のどこにでもいるが、これまでは移民に寛容として知られていた国でさえ、これ以上の中国移民は受け入れられないと悲鳴を上げる国が続出してきた。その代表格がカナダ。当初、80万カナダドルを投資するか5年間無利子で貸し付ければ永住権が交付されるという投資移民プログラムで移民を募り、中国からの移民ラッシュに沸き返った。だが、彼らはマンションを購入するだけで不動産投機にしのぎを削り、また偽造書類にて就労目的の貧困層が流れ込み現地人の雇用を奪った。こうした状況に危機感を抱いた当局は中国からの移民にストップをかけ、2014年3月には申請のあった4万6000人分の手続きが中断されたという。加えて、中国はカナダの資源関連企業を次々と買収していっていることで、カナダのエネルギー安全保障が脅かされつつもある。似たようなことがオーストラリアでも起きているわけだが、アフリカや中央アジアの資源国についても同様なのである。
このように、アジアをはじめとする世界各地で中国との文化的衝突が激しさを増しており、中国によるカネに物を言わせた傍若無人と宗主国顔が忌み嫌われている。文明史観的には中華文明から離れようとする強い力が多くの国々で作用しており、実践的な経済的絆だけは深めても、中華文明の浸透は極度に警戒されているのが世界の現実なのだ。中国から海外へ移住した数は934万人以上(2013年国連調べ)とのことで、カンボジアやラオスなどの近隣諸国だけでなく、カナダのバンクーバーなど欧米の諸都市でも中国人に乗っ取られる恐れが出てきた。一方の韓国だが、こちらはお家芸の売春が世界中でひんしゅくを買っている。韓国で売春が禁止されたことにより、オーストラリア、ニュージーランド、アメリカ、そして日本に万単位の韓国人売春婦が流れ込んだという。最後に、日本においても、つい最近、東京の池袋で中国人同士による銃殺事件があった。こうした不穏分子の存在により、日本は世界一治安の良い国ではなくなってきている。世界における中韓へのブーイングは、日本と無関係であるはずがないのだ。