西郷隆盛

池波正太郎

幕末から明治維新、そして征韓論争の末に下野し、西南戦争で散った西郷隆盛の生涯を綴った一冊。時代小説の名手、池波正太郎が激動の幕末明治期の日本を俯瞰しながら、時代の立役者として東奔西走した西郷の生き様を描く。

ただ、やはりこれだけの人物をたかが二百数十ページで表現するのはどだい無理な話だ。したがって、人生の転機となる部分や直接関わった事件のみを中心に取り上げる一方、長州征伐や戊辰戦争などといった歴史上の流れは詳細に記述することなく簡略していることは仕方のないことだろう。その中でも、西郷が決断するに至った経緯を省くことはないため、自然に面白く読ませるところはさすがだ。

この一冊で西郷のすべてを知ることは到底できないが、西郷を知る入門書と位置づけるには最適の書と言えよう。


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