売国奴に告ぐ! いま日本に迫る危機の正体

三橋貴明、中野剛志

売国奴というと、ちょっと前では河野洋平、村山富市、最近では鳩山由紀夫、菅直人あたりが思い浮かぶが、この本はそうした売国政治家を名指しで批判するものではない。日本のデフレ経済不況をさらに促進させようとしている「新自由主義経済信奉者」、歪んだ情報を垂れ流して国民の判断を間違った方向に導いている「マスコミ」、そして世界経済を引っかき回し、自分たちだけが儲けることに血道を上げる「グローバル経済の黒幕」、こうした人たちを徹底的に糾弾している快作だ。

とにかく中野、三橋両氏の舌鋒が鋭い。超円高、20年にわたるデフレ、TPP、増税などで衰退していく一方の日本を憂い、また為政者・利益集団への怒りを込め、具体的なデフレ対策を提示しながらの対談が続く。実は、国債の長期金利や失業率などで見ると、日本経済は比較的健全な部類に入る。そうした事実も加味し、ただでさえ賢い日本国民がさらに意識を高めることで、これからの世界経済は日本がリードしていくべきだとの提案も飛び出す。

とはいえ、我々日本国民がまずしなければならないことは、正しい政策を実行できる政治家を、正しい情報・判断に基づいて国政に送り出すことである。それができない人こそ、「売国奴」と呼ばれうるのだということを忘れてはならない。


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です