フェイスブックが危ない

守屋英一

実名登録を原則とすることで、ハンドルネームでの運用がメインだったSNSの世界をがらりと変えてしまったフェイスブック。音信不通となった過去の友人と再会したり、リアルな仲間内での情報交換の場に利用したり、人脈を広げたりすることを目的に、ユーザー数は着実に増えていき、現在日本の登録者数は1000万人を超えたという。

そんなフェイスブックが「危ない」のは、実名登録だからこそだと著者の守屋英一氏は警告する。登録した本名、住所、電話番号、画像などの個人情報は登録した時点ではデフォルトで公開設定になっているため検索により悪意のある第三者の手の内に入ることとなり、またハンドルネームと違い個人が特定されやすい(というか確実に特定)ため投稿記事の内容によっては攻撃あるいはストーキングの対象となりうる(特に安直な位置情報表示)。要するに、バカ発見器であるツイッターの実名バージョンだ。

ほかにも、個人情報を抜き取るアプリの存在や、安易に友達解除することで殺人事件にまで発展したケースなど、本来は器としての機能のみ想定されていたフェイスブックがリアルな空間を乗っ取り、本人が気づかぬうちに愛憎劇の舞台と様変わりする危険性などが指摘されている。守屋氏はフェイスブックの可能性を高く評価しながらも、その一方で取り返しの付かない落とし穴も隠されていると自身の体験談を基に警鐘を鳴らす。

だが、ウェブサービスを利用することが当たり前になった現在においては、フェイスブックでトラブルに巻き込まれても、ネット作法を知らないで(気にかけないで)登録している人のほうがおかしいという風潮になってきている。さすがに高度なネットワーク知識を駆使した攻撃には無力かもしれないが、最低限のマナーや対策はわきまえていなくてはいけないのだ。本書ではあらゆるリスク対策が述べられているが、そもそもネットの世界と現実は別物ではない(混同するという意味ではなく)と心掛けていれば臆する必要はないと考える。


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