ぼくらの祖国

青山繁晴

「日本は第二次世界大戦での敗戦以来、戦勝国アメリカに対しずっと膝を屈し続けている。それは、かつて外国との戦争に破れたこともなければ外国からの支配も受けなかった日本が、敗戦国として律儀すぎたからだ。だから、政治家や官僚はアメリカの顔をうかがってばかりだし、いまだに日本独自の憲法を作れないでいる」。著者の青山繁晴氏はこの論拠のもと、東日本大震災、硫黄島に取り残された遺骨、日本海に眠る新資源などを例に取り、我々一般の日本人が忘れかけている「祖国」の意味を問うてくる。

昨今の日本人が弱体化したと言われるのは、学校で真実の歴史を学ばず、自虐的な歴史観のみを植え付けられたことで、祖国・日本に対する誇りが失われてしまったからだ。この責任は、教師や政治家のみならず、我が子に誇らしい真実の日本の歴史を教える立場にある我々にもある。

幸いにも、この本は中学生が理解できることを前提として書かれているため、抽象的で堅苦しい観念論を語るのではなく、実際に氏が自らの足と目で得た情報や体験が極めて具体的に綴られていて読みやすい。子供にものを考えさせる習慣を付けさせたいのであれば、新聞やテレビが垂れ流す情報を鵜呑みにすることはせず、まず我々大人がこうした良書に触れ吟味したうえで語り伝える必要がある。氏の著書は何冊か読んでいるが、電車の中で泣いてしまったのはこの本が初めてだ。


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