国家の命運 安倍政権 奇跡のドキュメント

小川榮太郎

勝利するのは難しいと思われていた自民党総裁選を制し、解散総選挙圧勝をへて総理就任早々から経済・外交・震災復興を中心に国内外で大車輪の活躍を見せている安倍晋三を追ったドキュメント。総裁選前に出版された「約束の日」の第二弾。

2012年の総裁選当日、私は会社にて、ニュースサイトを食い入るように眺めながら開票結果を待っていたことを昨日のことのように思い出す。民主党政権下の悪政を打破し国難から乗り切るには安倍しかいない。「約束の日」を読んで安倍の国家観と行動力にすっかり心酔していた私は、石破か石原かどちらかという不利な状況においても、安倍新総裁誕生を信じ、まさに祈るような心持ちでディスプレイを見つめていた。そんな中、安倍勝利の報道。私は社内で思わず「やった!」と叫んでいた。

それからの私は、連日報道される安倍新総裁と野田首相との衆議院解散をかけた国会論争から目が離せなくなる。折しも、中韓ロという敵性国家から卑劣極まる侵略行為を受けていただけに、私は、いや安倍を支持する人たちはみな「早く解散に追い込んでくれ!」という一念に駆られていたことだろう。そして、ついに野田首相から解散の言質を引き出すと、12月の総選挙で自民党圧勝。以後、文字どおりのロケットスタートで、国内では経済の立て直し(アベノミクス)、震災被災地への毎週の訪問、北朝鮮による拉致被害者奪還への強い意思表示、そして国外では対中包囲網を意図した東南アジア諸国歴訪、中東への資源外交など、「日本を取り戻す」ため獅子奮迅の活躍を始める。

本書はドキュメントという体裁を取っていることからもわかるとおり、ただ安倍の仕事ぶりを紹介しているだけに留まらない。前半パートでは絶対不利という下馬評の中で勝利した総裁選の舞台裏がドラマチックに描かれ、後半はややトーンを落とし、首相に再登板した安倍の仕事ぶりを評論スタイルで綴っている。注目すべきは、やはり総裁選を舞台にした前半部分。安倍を総裁にするため病身を顧みず奔走した故・三宅久之氏との師弟関係や、日本を守るという強い信念を持った同志との熱い絆など、淡々としていた報道の裏で繰り広げられた人間ドラマには胸を熱くせずにはいられない。

著者の小川榮太郎氏は、安倍と近い距離にいるシンパということもあり、書きぶりは中立的とは言えないものではあるが、客観的な視点に立ってみても(私が安倍支持であることを排除しても)安倍の行動力は文句の付けようがないことは明瞭であるため、著者である小川氏の評こそがスタンダードと言えるかもしれない。それに、中小企業はいまだ苦しんでいる、物価が上がった、給料が上がらないなど、週刊誌が好みそうな国家観のない小人の愚痴も小川氏は織り込み済みで、「どうぞ納得のいく反論を提示して頂きたい」と懐が深い。私自身、TPPや道州制の実施には反対であるが、いまは参院選後の安倍の動きに注目したい。集団的自衛権の適用、国防軍設置、そして憲法改正。日本がようやく自立へと立ち上がろうとしているこの歴史的瞬間を、まなじりを決して見届けたいと思うのである。


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