約束の日 安倍晋三試論

小川榮太郎

2006年9月、小泉純一郎の後を受け第90代内閣総理大臣に就任した安倍晋三。組閣後、「戦後レジームからの脱却」を旗印に、教育基本法改正、公務員制度改革、国民投票法、そして憲法改正という、戦後どの内閣も手を付けようとしなかった難題に勇猛果敢に挑んでいく。圧倒的行動力で次々に法案を成立させ改革を実現させていく安倍であったが、既得権益に執着する省庁、それらにたきつけられたマスコミによって次第に窮地へ。その急先鋒が朝日新聞で、「安倍の葬式はうちが出す」との鼻息のもと、松岡農水相による疑惑や消えた年金記録問題をダシに異様なまでのネガティブキャンペーンを張り、ついには参院選で安倍自民党を大敗させる。その後、安倍は健康問題により総理大臣を辞任することになる。

小泉内閣の時代に政治に興味を持った僕ばかりにとって、安倍晋三とはたった11ヶ月という短期間で政治の表舞台から身を退いた“意気地なし”だった。だが、今思えばそれは間違いだった。実際の安倍政権は、「日本を再生させる」という誰よりも強い信念を持って改革に臨み、明日の日本に禍根を残さぬため、票にならない教育・憲法を改正するために奔走。松岡農水相の自殺、年金記録問題に関する大バッシング、参院選大敗、そして自らの病気。こうした地獄の試練とでも言いうるような状況の中でも安倍はひとことも弱音を吐かず、最後の最後、限界まで日本のために文字どおり挺身していたのだ。当時、テレビの報道を盲信していた僕にわかろうはずもない。

普段、「本は図書館で借りるもの」をモットーにしているケチな僕がお金を払って手に入れた本(ハードカバーの書籍を買ったのはハリーポッター以来かも)。自民党総裁選まであと数日という絶妙なタイミングで手にしたわけだが、これまで何となく安倍支持派だった僕に、衝撃とも言える気づきと確信を与えてくれる一冊となった。一読してみれば、内憂外患の日本を託せるのはこの男のほかにいないと思えるだろう。僕は安倍新総裁の誕生を心から願う。だが、その一方で、朝日をはじめとしたマスコミは、すでに安倍外しに躍起になっている。「戦後レジームからの脱却」とは、まさに命を賭しての闘いなのである。


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