日本は「国債破綻」しない!

三橋貴明

経済評論家の三橋貴明氏による気合いの一冊。国債に関する正しい知識と具体的なデータを用い、「国債発行残高が900兆円を突破したから財政破綻する!」「赤字国債乱発で日本は信用を失い円が暴落する!」「国民一人あたりの借金は○○万円!」などと国民を煽りまくるマスコミを一刀両断する。

国はどこから金を借りているのか。それは、私たち日本国民からである(対外債務ではない)。こうしたマクロ経済の基本的な解説から始まり、国内に日本円を発行できる機関(日本銀行)がある限り、円建て国債が償還できなくなることなどあり得ない。そもそも、国債破綻なら金利が高騰するものだが、実際はあり得ないくらい低すぎる(世界最低)。それに日本は世界一の対外純資産国。など、国債の純然たる原則を語りつつ、マスコミ御用学者に対し「だからどうした?」という調子で論を進める。

ソフトな語り口が持ち味の三橋氏。著作は出版されれば必ず拝読しているのだが、今作はちょっとタフだった。一貫して経済の原理原則を述べているので(三橋氏の自説ではなく)、僕のように超文系で数字に弱い人はもちろん、タイトルに釣られて意気込みだけで読もうとすると厄介なことになるかも。硬質で無味乾燥な大学のテキストと比べれば格段にわかりやすいのだが、やはりある程度の経済知識は必要だと実感するだろう。

そんな中でも、「日本は国債破綻できない」「日本がギリシャ化するはずない」「日本はデフォルトしようがない」ことの論拠そのものが、いま日本が苦しんでいるデフレから脱却するための解となっていることには注目。いますぐ取り掛からないと日本が誇る供給能力が喪失してしまい、来たるべき需要を下支えすることができなくなる。「将来世代にツケを残さない」ために、やるべきことは増税ではなく、国債発行→日銀による国債買い入れ(通貨発行)→財政出動(公共事業)による正常なインフレ基調への復帰なのである。


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