2013年 大転換する世界 逆襲する日本

三橋貴明

アメリカ、フランス、台湾、ロシア、韓国で大統領(総統)選挙が行われ、中国では国家主席の交替があり、そしてわが日本では総選挙で自民党が圧倒的勝利を収め政権奪還を果たした2012年。本書は、歴史に残る選挙イヤーとなった2012年を総括し、来る2013年、世界はどのように推移していくのかを、マクロ経済の面から詳らかにしていく意欲作だ。

結論から言うと、たった1%を富ませるだけのシステムにすぎないグローバル経済は破綻を迎え、逆に正しいデフレ対策に目覚めた日本が経済復活への舵取りを始めるだろうと結んでいる。なんとか財政の崖を回避したもののデフレ化しているアメリカ、ユーロ離脱しか道がないまでに追い詰められたギリシャ、システム自体が矛盾だらけで内部崩壊寸前のユーロ、そして国内統制のため反日カードを切り、頼みの綱であるはずの日本を完全に怒らせた中国と韓国。著者の三橋貴明氏が、こうした世界の状況を俯瞰しながら、日本にとって今後カギとなる経済政策について語る。

「通貨を発行して、借りて、使え」。本書でもいつもの三橋節が全開であるが、それこそがこの大転換している世界を泳ぎ切り、デフレ脱却、経済成長、景気回復を実現する唯一の解である。また、収縮に向かおうとしている世界経済に対しても、日本が正しいデフレ対策を打つことで、新たな成長モデルを世界に示す役割を担うこととなるのだ。それは、世界的に著名な経済学者も認めているところである。

300ページほどあるのだが、明快な論理展開に加え、分量の多さが苦痛に感じられないほどの情報量で、面白くて一気に読める。今年の世界経済を概観し、マクロだけでなくミクロな視点からも経済を読み取るうえで、これほどぴったりな一冊はないだろう。


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