世界同時 非常事態宣言~トランプ以後の激変が始まった!

三橋貴明、渡邉哲也

経済評論家の三橋貴明氏と渡邉哲也氏が「トランプ以後の世界」をキーワードに、グローバリズムがはびこる不可解な世相を縦横に論じる。2017年2月に就任したドナルド・トランプ米大統領は、実行すると公約してきた移民対策、オバマケアの廃止、軍事費の拡大、1兆ドル規模のインフラ再整備などを「新しい国家のプライド」として訴えている。そして、米国製品を買うこと、米国人を雇用することが国家再建の核となると強弁した。こうしたトランプ大統領の政策を米国メディアは否定的に報じているが、そこから引用してくる日本メディアも同じような論調で報じるため、日本人はトランプ大統領を正しく評価しづらくさせられている。トランプ大統領のケースだけでなく、世界中で保守系政治家とリベラルメディアは大きく対立している現実を背景に、世界規模で張り出した経済的潮流とそれに対抗しようとする新しいうねりをえぐり出す。

世界のあちこちでグローバリズムからの脱皮を試みる動きが出てくる中、我が日本ではどのような政権運営がなされているのだろうか。株主資本主義の蔓延、財政均衡主義による公共投資の削減により国内への投資が減少。マネーロンダリングの温床となるカジノ計画、規制緩和により特定分野に新規参入を果たし他人の所得を奪い取るレント・シーキング。人手不足を名目とした外国人労働者の拡大。医療分野、介護分野での予算の削減など、両氏、特に三橋氏の著書によく触れていたらおなじみの経済失策が飛び出してくる。とにかく、安倍総理が打ち出しているのはデフレ対策とは真逆に、国民の実質賃金を下げ続けている緊縮財政なのだ。三橋氏は、量的緩和で300兆円ものお金を4年間で発行しても同時に財政を緊縮してしまうとインフレ率は上がらないことを安倍総理が証明したと皮肉る。翻って、国家再建を掲げ実行に移しているトランプ大統領の実態を歪めて報道するメディアを鑑みれば、その意図が透けて見えてくる。

2016年6月には、イギリスがEU離脱を決定したことが大きな話題となった。グローバリズムの元祖とも言うべきイギリスが、世界で最も完成されたグローバリズムの国際協定であるEUから離れることを選択したのだ。そのうえで、トランプ大統領は就任演説で「保護主義が大いなる繁栄と強さに導く」と発言。世界は、行き過ぎたグローバル化の是正に向けて舵を切った。ところが、日本はそうした流れに真っ向から刃向かい、周回遅れのグローバリズム路線を突き進んでいる。なぜか。理由は3つあるとし、グローバリズムは正しいという思考停止状態、日本がまだ本格的にグローバル化していないこと、そして経済に関する情報が間違っていることを挙げている。このままでは日本が外資に、そして外国人に乗っ取られてしまうのは時間の問題だ。ではどうすればよいのだろう。政治家がダメなら国民が変わるしかないが、まずはなぜトランプ大統領が誕生した経緯を考えてみるといい。その後、アメリカ以外の国でも同じ潮流が生まれてきている現実を見てほしい。答えは、メディアが張りめぐらせた衝立の向う側にある。


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