テキサス親父の「怒れ! 罠にかかった日本人」

トニー・マラーノ

「Hi,folks!」で始まる動画でお馴染みの、テキサス親父ことトニー・マラーノ氏。テキサス在住のアメリカ人でありながら、中韓などからのプロパガンダにやられまくっている日本を擁護する内容の動画を多く配信し続けていることは、日本の保守層を中心に支持を得ていることは承知のとおりだ。そのマラーノ氏が初めてYouTubeに動画を投稿したトピックは、中国のチベット僧に関するものだったという。購読している新聞に意見を投じたが一度も採用されたことはなく、電話をしてみても左翼思想丸出しの担当者によりまるで取り入ってくれなかったことがきっかけで、自らの考えを発信する場をインターネットに求めたというわけだ。それ以来、マラーノ氏は「プロパガンダ・バスター」というチャンネル名で、マスコミの偏向または世論誘導を叩く活動を継続している。そんな中、シー・シェパードや慰安婦像設置などを痛烈に批判する彼の動画が日本人の目に止まり、動画に日本語訳が付いたり日本事務局が開設されるなどして、アメリカ人から見た日本の正当性を発信する動画として認知されるようになった。

そのうち、アメリカ・グレンデール市に建てられた慰安婦像を糾弾する一連の動画は、最も注目された動画のひとつと言っていいだろう。「第二次世界大戦は1945年に終わり、慰安婦問題も基本的にその直後に終わったんだ」という日韓間で政治決着済みの事実を繰り返し訴えた上で、「慰安婦の像の本質は、俺の軍を撃ち負かすために大日本帝国軍の兵隊に手助けしたあの椅子に座った女性に感謝してるって話なんだ」「あの女性は大日本帝国の士気を高める高給取りの売春婦だったってことなんだ。その時、その軍は誰と戦ってたんだ? アメリカ合衆国だぜ! 南太平洋と太平洋で戦ってたのは誰だよ? 大日本帝国と戦う米国海兵隊だろ! 俺の父親だ!」など、あくまでもアメリカ人としての立場から韓国のねじ曲がった主張を徹底的に叩きのめす。そして、マラーノ氏は慰安婦像を撤去するための請願をホワイトハウスのホームページに立ち上げた。その理由として彼は「慰安婦像が平和よりも憎悪を助長するものだと感じる人にとって、請願がその不快感を示す手段になればと思った」と語っている。

本書は、マラーノ氏の500を超える動画の中から監修の西村幸祐氏が選りすぐった70編を紹介するという体裁を取っているが、やはり韓国関連のトピックが目につく。これは日本の保守層向けに編集したからとも考えられるが、それでもアメリカ人の目からしても韓国の言動はいかに理不尽であり、腹に据えかねるということだろう。マラーノ氏でさえ「マジかよぉ!?」と目を剥くくらいだから、いわんや私たち日本人をやである。ほかにも、シー・シェパードの日本バッシングを、「韓国の漁師は事故を装ってクジラを2350頭も捕らえたぜ!(日本は300頭以下)」「ペルーでは年間1万5000頭のイルカ漁が行われてるぜ!(太地町は2000頭)」など、他国の事例を取り上げてその矛盾点を突いてやり込める論法は実に痛快だ。また、マラーノ氏が日本を擁護するには、単に親日だからというわけではなく、歴史や世界情勢などを正確に追及した結果、日本が世界から「いじめられている」ことに気づいたことの結果による。日本人が日本は悪くないと主張することは当然のことであるが、プロパガンダによって歪められた言論空間では自己擁護と取られることもある。その点、マラーノ氏のように日本の立場を正確に発信してくれる外国人がいてくれることは大変心強い。これからも彼の言動に注目したい。


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