米カリフォルニア州弁護士であり日本ではテレビタレントとして活躍しているケント・ギルバート氏と、YouTubeで日本を擁護する動画を投稿し続けているテキサス親父ことトニー・マラーノ氏による対談集。日本在住34年になるケント氏、そして米国にいながら日本を叱咤激励をしてくれているトニー氏が、外国人の立場から、日本の抱えている問題や日本の将来、米国との関係構築などについて語り合う。
ふたりが熱弁をふるう主な内容は以下の通り。ポリティカル・コレクトネス(政治的正当性の拡大解釈)の一般化により日本ほど自由を感じないという米国の現状。米国のマスメディアはリベラルに乗っ取られ米国の文化を貶めているが、日本のそれはまだ日本の文化をしっかりと描いている。国旗・国歌に強い敬意を払う米国人に対し、意識の低い日本人。など、社会面だけでなく、両国の政治や外交についても話が及ぶ。
中でも目に留まるのが、やはり慰安婦問題についてのくだり。韓国が、米国の各地に慰安婦像を設置する動きを活発化していることは周知の事実だが、トニー氏によると、米国人はこの問題についてほとんど知らない。「慰安婦問題なんて聞いたこともない」「そんな問題は70年も前の話だろ。なんで今頃そんな話を蒸し返しているんだ」というのが一般的な米国人の反応だという。一方、ケント氏が慰安婦問題に言及するようになったのは慰安婦問題を煽り続けてきた朝日新聞が訂正記事をだしたことがきっかけ。それまでは、なんとなくそういうことがあったのだろうと漠然と思っていただけだったそうだ。
ふたりはこの問題に関し、日本政府の対応の遅さを指摘するほか、米国ではすべて自己責任という考え方が浸透しているため、日韓間の問題に責任をまったく感じないし、だからこそ関心もないと米国人としてのスタンスで前置き。そのうえで、真実を拡散し続けるため、日本政府は積極的にロビー活動を展開するよう提案。日本人の感覚では卑怯に思えてしまうが、それこそが米国では効果的だからだ。また、日本人は韓国の嘘にいちいち腹を立てていると韓国を利することになってしまうため、粛々と事実を拡散していくことがよいともアドバイスする。
こうした問題を本気で解決しようとしない日本政府に不信感を持っているふたり。だが、それ以上におかしいと感じているのが、竹島を韓国に実効支配されても、国民を北朝鮮に拉致されても、北方領土を強奪され尖閣諸島を侵略されても、無関心を貫いている大半の日本人だという。日本が仕掛けられている歴史戦や示威行為に対して、ふたりのような外国人が異議を唱えてくれることはとても心強い。だが、実際に立ち上がって日本を守り抜くことは日本人にしかできない。本書を通して、それを強く再認識した。