国難の正体――日本が生き残るための「世界史」

馬渕睦夫

「人・物・金」の行き来を自由にするグローバリズムの美名のもと、国境を消滅させ各民族を均質化することで、ある特定層だけが世界を支配する計画が現在進行形で行われている。その特定層こそが、国際主義の名を借りた共産主義者であり、我が日本が直面する国難をもたらす“ガイアツ”を加え続けている勢力のことである。元外務官の馬渕睦夫氏が、こうした勢力が弄んできた世界構造の変遷に関わる歴史と、今後日本が国際舞台の中でどう立ち回りどう国益を守っていくべきかの提言を行う。

「冷戦は八百長だった」というセンセーショナルな見出しから始まり、中国はアメリカによって建国された、ベトナム戦争はアメリカの自作自演だった、その他、9.11後テロとの戦いと称して世界で先端を開いた理由などを、当事者の著書を中心としたソースを駆使して克明に綴られている。

馬淵氏は、こうした歴史の背景には必ずユダヤ系の国際銀行家が暗躍していると喝破。ロスチャイルド家やロックフェラー家をはじめとする大資本家が、自らが儲けるためだけに世界地図を塗り替えようとしているというのだ。歴史的に祖国というものを持たない彼らには、そもそも国家観という概念がない。民族それぞれが全世界に散らばっていくうちに社会・共産主義的な思考が醸成されていき、それがいつしか国際主義(グローバリズム)へと変質していった。つまり、彼らの目的は全世界を統一した市場とし、そこから生まれる莫大な権益を一手にすることなのだ。

すでに世界は彼らの思惑どおりに変わり始めている。米英独など主要国の中央銀行を民間銀行とし、その大株主として通貨発行のたびに莫大な利子を手にしている。こうしたことは序の口で、アメリカがどこかで戦争を起こすたびに、いやアメリカが戦争を「させられる」たびに、彼らの財布が潤う仕組みが成り立っているのだ。紛争地に石油、麻薬、地下資源など金の匂いがすると、必ず彼らの魔手が伸びていると考えていい。それと同じようなことが、我が日本の内部においても進行中なのである。

こうした世界情勢の中で、日本はどう立ち向かうべきか。どう日本を内部から瓦解することを防げばいいのか。やはり、国民一人ひとりがマスコミが流す情報の裏側にある真意に気づくことしかないわけだが、そこまで全員が名探偵にならずとも、日本人ならではの“お人好し”をやめることだけで随分と変わっていくと思う。それは身近な人を疑うことでは決してなく、日本人として国益そのものを考える機会と捉えてほしい。そのための知性、理性、民度は日本人に十分備わっていると説く馬淵氏同様、私自身もそれを強く信じるのである。国際政治の裏側を読み解くために、「偽情報退散! マスコミとお金は人の幸せをこうして食べている」と併せて読みたい。


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