速読日本一が教える 1日10分速読トレーニング

角田和将

速読とは何か。それは、「速く目線を移動する」→「速く文字を視る(一度に多くの文字を視る)」→「速く内容を認識する」という3つのプロセスを実践すること。シンプルに言い換えれば、目線の動きを2倍にすれば2倍の速さで読めるようになるということであり、15文字単位、1行単位と増やしていき、最終的には3行単位で視て理解することができれば、速読マスターというわけだ。ここで重要なのは、読む速度と理解度は関係がない。本物の速読法とは、「ふつうに読んでいるときと同じ理解度で速く読む方法」のことで、2倍の速さで読めればその分理解できる量は格段に増え、結果として同じ時間の中での理解度が高まるのだ。したがって、速読のトレーニングを開始した段階では、まずは速く読むことを目指し、理解力を上げるのはその後にすることを心がけたい。なお、速読には、ほかに「情報を探すための速読」があり、こちらはトレーニング不要で理論を知っていればできるものだという。

本書は、「視て理解する」速読法のトレーニングを紹介。これまでなぞり読みをして一言一句読んで理解していたのを、文字通り目で視て高速で理解していくためのステップが綴られている。目線をすばやく動かす、文字を視る幅を広げる、瞬間的に認識する力を高めるという一連のステップを、イラストや日常的な風景を用いて解説。眼球の動きを鍛えることはもちろん、やはり大切なのは一瞬で文字の塊を認識する力を養うことだ。速読法を身につけると、本を読むスピードが上がることだけでなく、情報を処理するための能力が上がる、視力が良くなる、右脳を活性化させるなどのメリットもあるという。私自身、遅読を自認しているが、本書はスラスラと読めた。おそらく意図的に平易に書かれているのだろうし、速読の最序盤としての構成がなされてもいるのだろう。本を速く読めることの副産物はとても魅力的に思えた。


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