成功とは才能や運で決まるものではなく、「成功するための技術」を身につけたたった5パーセントの人が味わえる成果のことである。中学校陸上部の監督として7年間で13回の日本一を育てた原田隆史氏が、熱血指導により培った目標達成のノウハウを伝授する。
原田氏が伝える「成功の技術」とは、
・明確な目標と達成期日の設定
・問題点や解決策などをノートに書き出す
・必ず達成できると心を強く持つ
・自ら奉仕することで理解者を得る
・小さな成功を少しずつ積み上げていく
である。
この部分のみ抽出してみると、既視感満載で他の啓蒙書でも語り尽くされていることではあるが、であるがこそ、人間は心の持ち方次第で人生を一変させることができるということだろう。本書の中で氏はそのことを繰り返し繰り返し述べている。
そうした中で慧眼だと思ったのが、「コンフォートゾーンの設定」と「メンターの獲得」。前者のコンフォートゾーンとは最高の自分と最低の自分で算出されるコンディションの幅のこと。つまり、事前に自らの上限と下限を知っておくことで具体的に調整しやすくなり、また強みと弱みを自覚し自らを見つめ直すことが容易になるという理論。一方、メンターとは、自分を応援してくれる人、理解してくれる人を獲得し、心理的に「守られている」という安心感を得ること。成功は一人では為し得ないのだ。
このように、成功にまで至るステップを非常に明確に語る原田氏だが、結局は「ローマは一日にして成らず」という言葉に集約される。努力を伴うどんなことにも言えることだが、日々の少し少しの積み重ねが成功を生むのである。やればできるという強い意志、絶対達成するという自己意識の深化ももちろん大事だが、千里の道も一歩から。株や為替で一攫千金を狙う意図とはまったく別物なのである。