火花

又吉直樹

熱海の花火大会会場の一角で、「僕」は漫才を披露していた。その漫才は、花火大会に華を添えるため企画されたものだったが、観客は若手芸人らを一顧だにせず観覧会場へ向け足早に通り過ぎていくだけだった。それ以前に、祭りのお囃子と花 … 続きを読む

クライマーズ・ハイ

横山秀夫

日航ジャンボ機が群馬県御巣鷹山に墜落した日、地元紙である北関東新聞は蜂の巣をつついたような大騒ぎに見舞われた。事故現場は地元、しかも乗客乗員500人以上が犠牲となった未曾有の航空事故。全国の注目が集まる中、地元紙のプライ … 続きを読む

カエルの楽園

百田尚樹

アマガエルのソクラテスとロベルトは、生まれ育った国を追われ、安住地の地を求めて旅を続けている。平和だったアマガエルの国が、ある日凶悪なダルマガエルに乗っ取られ、毎日のように仲間たちが食べられるという地獄と化してしまったか … 続きを読む

プラチナデータ

東野圭吾

警視庁特殊解析研究所で、どんなに迷宮入りしそうな完全犯罪でも、たちどころに犯人を絞り込めてしまう画期的なシステムの研究が進められていた。犯人の分析物からDNA情報を解析し、データベースに登録された親族のDNAと照合するこ … 続きを読む

旅のラゴス

筒井康隆

旅をする人というのは、出発前に定めた目的地に真っ直ぐ向かっていくタイプと、まずは異世界に飛び込んでから旅の目的を探しながら歩を進めていくタイプとがあると思う。果たして本書の主人公ラゴスはどちらのタイプだったのか。一読して … 続きを読む

夏への扉

ロバート・A・ハインライン

「ベル・ダーキンも――そしてマイルズ・ジェントリーもいない世界、いやベルだけはぜったいにいない世界が来るまで、まどろみつづけることができるのだ。ベルが死んで埋葬されてしまえば、あいつを忘れることができる、あいつがぼくにし … 続きを読む

ルーズヴェルト・ゲーム

池井戸潤

本書のタイトルとなっている「ルーズヴェルト・ゲーム」とは、8対7で競り合っている野球の試合のこと。野球でいちばん面白いスコアとされ、アメリカのフランクリン・ルーズヴェルト大統領が言ったというのがそもそもの起源ということだ … 続きを読む

続・竹林はるか遠く―兄と姉とヨーコの戦後物語

ヨーコ・カワシマ・ワトキンズ

終戦直後の混乱期、朝鮮の羅南(現在の北朝鮮清津市)にて裕福な暮らしをしていた川嶋家は、南下してくるソ連軍の襲撃から逃れるため、日本本土を目指した。本作の主人公である擁子は、母と姉の好とともに貨物列車で朝鮮関東南部の釜山ま … 続きを読む

わたしを離さないで

カズオ・イシグロ

ヘールシャムという、イギリスのどこかの片田舎に存在した施設。ここで幼年期・少年期を過ごした男女は、やがて「提供者」あるいはそれを補助する「介護人」として巣立つことになる。主人公のキャシーもそこで青春時代を送ったうちのひと … 続きを読む

銀翼のイカロス

池井戸 潤

東京中央銀行本店の営業第二部次長として腕を振るう半沢直樹は、ある日、部長の内藤に呼び出される。そこで、経営破綻が噂されている帝国航空の再建計画を任される。本来、資本系列の大企業を主要取引先とする営業第二部が担う案件ではな … 続きを読む